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桒原寿行/Eye
TOSHIYUKI KUWABARA/Eye





『Mouse to Mouse』2013年


『Eye』2013年
「万物流転」桒原の作品を一言で言い表すならこの言葉につきる。全ての物事は留まることなく、移り変わって行く。特に桒原の関心は生命や肉体、自然界における現象など、私達が逃れることのできない経年変化にある。
「Mouse to Mouse」という絵画作品は、一見すると白地に黒い顔料で描かれた抽象画のようである。しかし、その白と黒の顔料は「冷凍マウス」、つまりマウスの死骸を利用して作られたものであることが、同時に展示された記録を見ると解る。その瞬間、見る者は軽い目眩と共に、最初とは明らかに違う意味を作品に見出す。マウスは丁寧に骨と肉に分けられ、骨組織は白、肉組織は黒の顔料へと変化していく。肉体は寿命という時間が尽きてもなお、腐敗、乾き、といった変化を続ける。そしていずれは朽ち果て、土や空気中に帰し、次の世代へと生命の鎖をつないでいく。このマウスの死(肉体)はアートへ昇華(変化)したわけであるが、このタイトルが蘇生術である「Mouth to Mouth」と音が似ているのは偶然ではないであろう。
桒原の作品には経年変化そのものを提示するものもある。それが、N-MARK B1で発表される「Eye」シリーズである。
ゾンビに私達がどう見えているか想像がつくだろうか?それはSFの産物であるが、「Eye」は彼らが見る、死後の世界からの風景がどんなものかを再現する装置である。
眼球には水晶体という組織があり、カメラのレンズの役割を担っている。寿命が尽きた生物の眼球から水晶体を取り出し、それをレンズとして光を屈折させて像を移す巨大な装置に組み込む。もちろん「裸」の水晶体は腐敗し、映し出される像も鮮明さを失い、徐々に劣化していく。それは、「死」という生命の時間的限界の先にある世界である。
この作品によって突きつけらる「死後の世界」は決してSF的なものではなく、痛いほどリアルで美しいものになるであろう。


桒原寿行略歴
1986愛知生まれ 2011 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻 2013現在 IAMAS(情報科学芸術大学院大学)メディア表現科修士課程終了後、研究生在籍 
主な展覧会
2009 克雪ダイナモアートプロジェクト(越後妻有アートトリエンナーレ大地の芸術祭2009、新潟)2010 小豆島AIRアートプロジェクト2010(香川)2011 sagittal coronal transverse 矢状/冠状/横断 (小金井アートスポットシャトー/explosion tokyo、東京) 2012 D/A 複合体 (GALLERY 9 kyoto、京都) 2013 第16回 岡本太郎現代芸術賞 展ー特別賞ー (岡本太郎美術館、神奈川) 神奈川第16回 岡本太郎現代芸術賞など

website
http://toshiyukikuwa.net


 
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2013年10月4日(金)~11月2日(土)│13:00ー19:00│日・月曜定休│入場無料
〒460-0003名古屋市中区錦2-11-13 chojamachi TRANSIT BUILDING-B1
主催:N-mark│協力:chojamachi TRANSIT BUILDING

展覧会関連企画

オープニング・パーティー
10月4日(金) 19:00ー
N-MARK B1(地下1階ギャラリー)
【参加費】無料

アーティストトーク
10月18日(金)19:00ー
N-MARK B1(地下2階ギャラリー)
【参加費】500円