気が付けば前回の更新から約3ヶ月。春から夏へ移り変わる間、私自身に随分いろいろなことが起こった。とりあえずアートな話を2本。
■N-mark in トーキョー
「オープン・ミーティングを名古屋以外でも開催します」との言葉を受け、「ぜひ東京へ」という軽いノリからゴールデン・ウィークに実現した。N-markは名古屋のアーティストを引き連れて自費で出張してくれた。
それにしても、午後2時から夜10時まで絶えず参加者がいるという超長時間ミーティングになったのは、嬉しい悲鳴だった。以前からの知り合いだけでなく、N-markのウェブサイトを見るなどして飛び込んで来てくれた人がいたのが特に嬉しい。作品をプレゼンしてくれる人もいたし。以前にも少し触れたが、アートの世界は「動いている人の点で成立している」ネットワークだと思っている。だから「N-mark in トーキョー」を通じていろいろな人達・グループが出会うことで輪が広がり活性化するのを期待した。結局私がしたことは会場の手配をする程度だったけれども、それでも「アートを仕掛け」たつもり。実際、まずまずの結果を得られたのではないだろうか。N-markの武藤くん自身も「アートを仕掛ける」という全く同じ言葉を抱いていたようだ。今回はN-markの紹介・挨拶的内容となったが、また次の機会には議題を設けてより突っ込んだ内容で仕掛けてみたいと思う。皆さんよろしくね。
■レジデンス
今月7月から茨城県のレジデンス・プログラム「アーカスプロジェクト」の常勤スタッフになった。募集情報は数人を経由して原田真千子にまわってきたのだが、彼女はすでに秋吉台国際芸術村に入ることが決まっていたため、私に紹介してくれた。予想もしていなかった展開である。
レジデンスは近年全国的に盛んであるとはいえ、私といい原田といい、元CCA北九州キュラトリアル・コースが二人揃ってレジデンスに関わることになるとは。というのも、CCA北九州では「レジデンス」という言葉は一切使用していないが、リサーチプログラムの講師陣は1ヶ月の短期滞在、受講生は11ヶ月の長期滞在という、レジデンスセンターのような構成なのである。受講生にとっては「長〜い合宿」と言ってもいいくらいだ。
今のところ私の中では、レジデンスとキュレーターはあまり結びつかない。レジデンスでは、アーティストがその地域に触れ、人に出会い、あるいは一定期間を一緒に過ごすなどして影響を受けながら滞在し、最後にその成果をオープンスタジオ等で提示するのが一般的である。レジデンスのオーガナイザーは当然いるけれども、主体となるのはアーティストであり、キュレーターの存在なしに活動が展開する。
にも関わらず私達がレジデンスに関わるのは、展覧会や作品だけでなくアーティストの日常、例えばお茶を飲みながらの会話の中に、作品と同じくらい興味をそそられる要素が沢山あることを、 私達自身レジデンスで過ごすことで知ってしまったからかもしれない。
(注)原田さんは必ずしも私と同意見とは限らないので、悪しからず。