Enjoy our Art Life

「Magazine/Exhibition Project:Gloss」展

■巡回予定 2002年3月14日―4月21日 Nadiff(東京)
2002年7月12日―8月10日 CCP(メルボルン)
2002年7月16日―8月 6日 Sutton Gallery(メルボルン)
2002年11月15日―12月 8日 CACSA(アデレード)

■参加作家
マルティーン・コロンプト
マサト・タカサカ
ナターシャ・ジョンス=メッセジャー
ラリッサ・ホース
豊嶋 康子
サキ サトム
守 章
Candy Factory

■キュレーター
ラリッサ・ホース
平野 到
大友 恵理

■問い合わせ
tomoeri@angel.ne.jp(大友)
info@ccp.org.au (CCP)

■『グロス』誌取扱店
Nadiff(東京)
T 03-3403-8812 /F 03-3403-8819
www.nadiff.com
CCP(メルボルン)
www.ccp.org.au


 前回の更新から随分長い間お休みしてしまいました。そんなつもりはなかったのだけれども,アーカスをはじめアートのプロジェクトにいくつか関わるうちに,それらをここで紹介する暇も余裕もなく約一年が過ぎました。そんなこんなで久々の今回は,私が関わるプロジェクト「マガジン/エキシビション・プロジェクト:グロス」展について。
 昨年春から準備が始まり,今年3月にプロジェクトの核となる雑誌『グロス』第1号を発行。ナディッフ(東京・表参道)でのイントロダクション的な展覧会を経て,今月12日に本プロジェクトの受け皿であるメルボルンのCCP(Centre for Contemporary Photography)にて展覧会がオープン。同時に『グロス』誌第2号も発行され,先日メルボルンから帰国した。
 このプロジェクトは,タイトルが示すように,展覧会と平行して雑誌も発行するという点で普通の展覧会と少々異なる。一般的に展覧会にあわせて制作されるカタログが,展覧会の解説や作家/出品作品の詳細情報を提供する附随的なものであるとすれば,私達がプロジェクトにおいて雑誌として発行する『グロス』誌は展覧会の附属物ではなく,展覧会とリンクしながらもそれ自体がアートワークとして独立して広く流通することを目論まれたものである。現在,創刊号→東京展→第2号→メルボルン展という具合に進行し,参加作家達は展示と雑誌,二つのメディアの間を行き来しながらそれぞれの作品を展開してきた。実空間と平面,そして時間/連続性。作家達は両メディアの特質を上手く使い分けながら持っているアイディアをいろいろ試していて,さながらLAB(実験室)のようである。
 ところで,これは個人的な感覚なのだが,展覧会を見に行くとまるでそこだけ時間が止まっているような状況に時々違和感を感じることがある。多くの展覧会は一度オープンしてしまえば巡回展であっても「展覧会セット」が各地を巡回するだけで,その内容は全く変わらない。いつでも同じ作品・展示がオーディエンスを迎える。完成してしまった作品はそうそう変わるものではないし,同じ内容を多数の場所で見せられる,わざわざ遠くまで出かけなくとも近所の美術館に展覧会がやって来てくれるというのは,少しでも多くの人々に見てもらうための合理的でごく一般的な方法であり否定はしないが,一方で退屈に思えることがある。物故作家はともかく,現代美術では多くの作家は生きていて,一つの展覧会が終わっても彼等の制作活動は続いている。
 そうした疑問に対する自分なりの挑戦として,作家達がプロジェクトに関わる間に何を考えそこからどのように作品に至るか,できる限り展覧会や雑誌上に反映させたいと考えている。この約一年の間にどんなことが起こるのか,プロジェクト上で積極的に捉えリアルタイムでオーディエンスに伝えていくことが,実はこのプロジェクトの最も面白いところだと思うのである。
 これから展覧会がアデレードに巡回する11月の発行を目指して,いよいよ最終号の編集に入る。なお,この展覧会をそれなりの規模で日本へ巡回させることは,会場を確保できない等の理由により断念せざるを得ない。会場に関する問題は,この展覧会に限らずこうした国際展を日本で開催するときについて回る障害である。

大友 恵理/Eri Otomo
アーカスプロジェクトの仕事も終わり,再び川崎在住。これから新しいプロジェクトの準備に入ります。キーワードは「ナマモノのアート」。

 N-mark.com
 Copyright 2000.N-mark.com,All rights reserved.