Enjoy our Art Life
■OCTOBER 9, 2003
 先日ラジオをつけると、オフィス北野のプロデューサー、森昌行氏がゲスト出演していた。テレビでいつも北野監督の後ろに映っている彼が、どんな人でどんな話をするのか興味があった。彼は元々テレビ番組のディレクターとしてビートたけし氏と仕事をしていて、そこから今の仕事に至ったらしい。かれこれ20年以上の付き合いだそうだ。そしてラジオの話題は「日本の映画界にはプロデューサーがいない。」そう言えば先月のぴあ『Invitation』でも、是枝裕和監督がインタビューで同じようなことを言っていた。彼は最近、若手監督のために二本の映画をプロデュースした。特に若い監督にとって、撮りたい作品を実現するためにはプロデューサーが必要だと。

それなりに市場が成立しているように見える映画でさえ、そんな状況である。市場が貧弱な日本のアート業界では、なかなか厳しい。多かれ少なかれアーティストやキュレーター、ギャラリストが、プロデュース作業も自力でこなしている。やってくれる人がいなければ自らやるというのが現状か。基本的にキュレーターはプロデューサーとは別の仕事と思っている。アーティスティックなアイディアを展覧会の形にするのが基本的な仕事であり、どちらかと言えばアーティスト同様、映画における監督の立場に近く、作品や展覧会を実現するための資金集め、パブリシティといった作業(最近の言葉で言えばアドミニストレーション)は本来の仕事ではない。

ラジオを聞きながら、自分の仕事をプロフェッショナルにプロデュースしてくれる人が現れないかしら〜と思う今日この頃なのである。


大友 恵理/Eri Otomo
目下のTo Do List:「ブラインドデート展のその後」展?仮)/「ワークショップ・プログラム・バンク」あるいは「アーティスト・バンク」構想/“秩序”をキーワードとする展覧会

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