週刊「÷3」

TEXT by Maki Takemoto

竹本真紀 profile
1976
青森県八戸市に看護婦の母とバンドマンの父の間に生まれる。

1992
中学校卒業記念イラスト展 (八戸NHK)文化センター

1994
バンド「根城パラダイス」(八戸西高等学校体育館で一度限りのライブ)

1999
国立弘前大学教育学部小学校教員養成課程卒業
美術科卒業制作展(弘前大学学生会館、弘前VIVRE)

2000
ひいらぎ展 (柏高島屋ステーションモール市民ギャラリー)
美学校トンチキアートスクール入校 千葉県柏市在中


 何かに呼ばれたように、北千住で途中下車し、最近できたマルイの上の劇場に行く。確かに呼ばれたのだ。そこでは寺山修司の天井桟敷のポスター展をしていた。と同時に「奴婢訓」の上演中であった。「当日券は開演の2時間前から発売します。」と書いてあったので、「明日くるぞ。」と急に決めてその日は帰った。銀行に絵の売れたお金が振り込まれていたので、そのお金でチケットを買うことにした。
 お金をおろし、久しぶりに中古レコードバースデーに行く。弘田三枝子の「人形の家」を二日連続で聴いたので、(1日めはラジオで、2日めは新宿ゴールデン街のバーで)何か縁を感じ、確かバースデーで前にみたと思って買いにいったのだ。しかし、お店に入るなり「魔法の天使クリィミーマミ」というのが目に入り、早速お手にとる。それからJAZZの「nightandday」を探してもらったがなかった。それから山下達郎の曲をいくつか視聴した。探している曲は確かアカペラだったと思うがみつからなかった。「人形の家」はなかった。店長は「人形の家よりもこちらの方が君にとっては価値があるはずだ!!」とクリィミーマミのレコードをかざして言った。適当にピンときたレコードを買って、「明日、寺山修司見に行こうと思ってるんです。」と言ったら、「当日券とるの無理だよ。」と言われた。「でも、絶対見るんだもん。」と、心の中で言って、お店を後にした。
 翌日、わりと早起きして洗濯して、絵の具の乾き具合をみて、ちょっと粘土をこねて出発。とりあえず早めに行って並ぶことにした。わたしの前に夫婦が一組並んでいた。並んでいる人があまりいなかったのだが、とりあえず司馬遼太郎「義経(上)」を読みながら待つ。待つこと45分。当日券発売のお姉さんが来る。「すみません、今日の当日券は完売してしまったのです。」とお姉さん。「それなので、4人しかチケットが売れないのです。」 私は3人め。ラッキー。だって見るって決めたんだもん。
 開演まで時間があったのでランチを食べて、寺山修司のポスター展をみる。唐十朗のもあった。ポスターはいろんなところで目にしてきたが、何度みてもかっこいい。以前、寺山修司が好きなのだと言ったら、今泉先生が寺山修司が美学校に来たときの記事を送ってくれた。松澤宥氏の授業について松澤氏にすごんでる感じだった。夢の記述をする授業についてだ。後ほど松澤氏にもこの話は聞くが、寺山修司は松澤氏のファンだったらしい。わたしが学生の時、日本文化デザイン会議というのがあって、寺山修司の演劇が復活した。前売り券と一緒に寺山修司のお面が配られ、お面をつけている人は演劇のある1日だけ青森市内にチョークでらくがきしても怒られない。柏の町おこし的お話のときにこの話をしたら、「高木ブーのお面じゃね〜。」と言われた。柏ゆかりの有名人ほかにもいるよね?青森市内のいろんな場所で同時多発的にパフォーマンスが行われ、最終的にどこかの小学校にすべてのパフォーマーが集まり、最終的な公演場所が初めてあかされるわけだ。
 あのときから6年、生の舞台を見るのは二度目。しかし、以前のような感情は湧かなかった。いつも言われることだが、天井桟敷は当時行われていたから意味があった。寺山修司の演劇はもう古典になってしまったと感じた。そして都会っぽいさわやかささえ感じた。寺山修司が表現しようとしたこと、土方巽が表現しようとしたこと、村上善男が表現しようとしたこと、わたしはその霊気を青森という土地で感じた。その気は、今回の演劇にはなかった。確かに良い舞台だったし、確かに寺山ワールドだった。でもわたしがその「気」をわすれていたことに気付いた。今回、この舞台をわたしに見せてくれた外的な力よ、ありがとう。

「ちょっといっぱいいっぱいです」展と「出立/欠隙presentup/breakvacant」展
「ひみつギャラリー」と芸大の学生会館との交換展覧会です。題して「アートノーマライゼーション」
「ちょっといっぱいいっぱいです」展
場所:東京芸術大学学生会館展示室
日時:05.5.24(火)〜5.27(金)10:00〜19:00
24日13:00〜
27日〜19:00
井戸敏之(美学校卒)
クロダマサユキ(明星大学卒)
竹本真紀(美学校卒)
田島孝通(イメージフォーラム卒)
冨安由真(無所属)
27日はパフォーマンスあり
13:00〜クロダマサユキパフォーマンス「超時空だるまさんがころんだ」
16:00〜設楽玲子ワークショップ「漫画を音読してみよう」

「出立/欠隙presentup/breakvacant」
場所:ひみつギャラリー日時:05.5.17(火)〜6.11(土)
岡本育子(東京芸術大学美術学部油画科在籍)
黒野祐一郎(東京芸術大学美術学部壁画科卒)
設楽玲子(東京芸術大学美術学部先端芸術表現科在籍)
(ひみつギャラリーの場所はひみつです。ご来場の方は、himitu-g@jcom.home.ne.jpまでご連絡ください。)
〔ちょっといっぱいいっぱいです展の様子を芸大での展示が終了後、6.11までひみつギャラリーにて同時に特別展示いたします。〕

@東京都西荻窪のニヒル牛で、記憶処理研究所、クライアントの未処理記憶サンプルを100円で販売中!
その他、カンバッチ、ポストカードも販売中です!

@個展
 2005年6月7日(火)〜12日(日)
東川口のKENArtGallery


油絵バージョン!

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