週刊「÷3」 TEXT by Maki Takemoto 竹本真紀 profile1976 青森県八戸市に看護婦の母とバンドマンの父の間に生まれる。 1992 1994 1999 2000 | 大野一雄をみた。というより、大野一雄を見ている人達を見ていた。 死ぬ前に一度お目にかかりたいと思っていたその人は、息をしているのか、何か考えているのかもわからない状態で、まっすぐと遠くを見据えて、大きな口を開けて今彼が持っているであろう生命力をいっぱいに放っていた。 「大野一雄生きてるか!!」とマイクで叫んでいたお姉様を弘前でお見掛けしたが、言葉を発せなくとも「生きてるよ!」 ともっと大きな声で返しそうな光を放っていた。今、なお、踊ろうとしているのか、なぜ体は動かずとも踊り続けるのか。 彼はエルビスプレスリーの「愛さずにはいられない」(確か邦題はこれでCan't stop folling love youかなんかだと思う。)をBGMに登場した。大好きな曲なのだという。そして99歳のお誕生日を迎えた。 また、初めて金満里さんという方を知った。彼女は重度の障害を持っているが、踊り続けている。 「在」ということを強く感じた。 森美術館でのクサマトリックスの施工の際、ずっと記録を撮ってくれていたレイチェルに久しぶりに会う。横浜美術館で展覧会中だという。見に行きたいと思っていたが、休みがなくて最終日になってしまった。 最終日の前の日にレイチェルに会い、ぜひ見に来てほしいという。休みがなくて行けない。ごめんね。と下手な英語で謝ると、残念そうにしていた。 そのやり取りを見ていた職場の方が次の日、お昼休みに「みてきたら?」と言うので喜んで見に行った。 予想以上にすばらしい作品達だった。 彼女は確か日本の春画を調べているということだったが、作品も、日本の「間」とかわびさびと男女感や人間の欲望が絡み合ったような作品だった。しかし、それは決していやらしくなく、彼女の人柄もあるだろうが、さっぱり味の豚骨ラーメンのように仕上がっていた。 「もっと日本を勉強するべき」というバカな感想を書いていた人がいたが、外国人が日本人ぽい作品にしてどうする。彼女がリサーチして彼女の現風景と日本の何かがリンクして作品となっているのだから。下手な英語で必死に伝えたかったが、レイチェルは「マキチャン」が見に来てくれたことがうれしかったみたいだ。 でかいよ。 | |
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