週刊「÷3」 TEXT by Maki Takemoto 竹本真紀 profile1976 青森県八戸市に看護婦の母とバンドマンの父の間に生まれる。 1992 1994 1999 2000 | もうすぐ20代も終わりにさしかかっている。 何がどう、というわけでもないが、30歳を期に、何かが変化しそうな予感がしている。 今の状況がたとえよくなくてもあきらめないで、自分は天才アーティストだ!と大ボラふいていても、どうにかなるもんだな。と実感できることがよくある。 自分が一瞬忘れていても周囲の人によってひきもどされる。 「美術家竹本真紀さんですよね?」と。 部屋の整理をしていても、こんなに作品があるんだ。と、毎回関心というよりはげんなりする。 夢中で作っていたのでこんなに部屋にあふれかえるほどの量になっているとは知らなかった。 しかもすごいペースで増えている。 毎日決して十分な制作時間をとれるわけではないので、未だにまだまだ作らなければと、いつも追われている状態だ。 そして、制作時間が制限されるほど制作しないといけなくなる。 制作していないと死んでしまう。 かなりのハードスケジュールで動いているが、めりはりがあって逆に楽しい。 このまま無心に続けていって気がついた制作の時間でいっぱいになっているだろう。 いつか、奈良さんに「奈良さんを超えます!」と言ったときに、「競争じゃないんだからご勝手に〜。」 と言われたことがあった。 最近その「競争じゃない。」という意味がすごくよくわかってきた。 美術や表現は競争じゃない。 それはあたりまえのことでもあるので、そのときにはそういう意味だけでとらえていた。 しかし、もっと大きな意味をもつのだと、最近とても実感している。 そう思ったら肩の力が抜けてきて、自分の立ち位置がしっかりしてきた。 しかし、守りに入るつもりはない。 上京して最初に働いた海鮮丼屋の料理長が、「たけもっちゃん、もっとけんかしろ!職人はわがままでなければならない。」と言った言葉を思い出した。 すぐに言いたいことを言ってしまってもめてしまうわたしのことを、「それでいいんだよ。」と初めて言ってくれた大人のような気がした。 「小さくまとまる必要はない。どんどんけんかしろ。」と。 いい年こいてもこの姿勢でいきたいと思う。 | |
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