artist file '99
exhibitions'99 at JINRYO




「壁と儚いもの」
竹内陽子個展
1999年6月11日(金)〜7月4日(日)

 

音楽の世界ではテクノロジーの進化により安い値段で楽器、録音機材等が手に入るようになり、スタジオを借りなくても自宅でクオリティーの高い音楽制作が可能になった。だれもが軽い気持ちでミュージシャンになれる。そういったスタンスを確立させた。もちろん私たちが普段耳にする音楽はスタジオで録音されたものであるが、力みのない自宅録音テイスト、リラックスしたムードのポップミュージックはとても気持ちがいい。 その、「スタンス」、「テイスト」、「ムード」をもったのが竹内陽子自身と彼女が作り出す作品である。 とかく質量の大きいものが評価されがちな美術教育に毒されることなく、早くから自分のスタイルを確立してきた彼女の作品は、どれも机ひとつのスペースがあれば製作できそうで、その「へなちょこ」さは、作品制作におけるフットワークの軽さが感じ取れる。
奇形な犬、ぺちゃんこに潰れた動物(?)やボロボロな家、切断された人間の手首のドローイングなど、病んだ感じのする作品は、彼女が「ボトボトと自分からこぼれ落ちてくるものをカタチにしている」と語るように作家自身が投影されているのかもしれない。(だとしたら彼女は生活のなかでかなりノックアウトされているのだろうか?)しかし、彼女がもつ「スタンス」、「テイスト」、「ムード」はそういったネガティブなイメージを、見るものが重く受け止め、落ち込むことなく「さらり」と見せてくれる。それが彼女のセンスである。
今回N-MARKでの展覧会では、今までの作品にみられた「犬」や「家」といった既存のイメージから遠ざかり、新たな個を出現させる。

installation view



artist profile

biography

    1974/愛知県生まれ
    1998/名古屋芸術大学美術学部卒業
solo exhibition
    1996/個展/名古屋市市政資料館(名古屋)*3月、12月に開催

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